
翌朝、早くに起床する。日の出を前に立山の山々のシルエットが見えて幻想的だ。朝風呂に入り、バイキング方式の朝食をいただく。ごはんはおにぎりを自分で取る方式で、富山らしくとろろ昆布を巻いたおにぎりやますの寿司タイプのものもある。
さて5月5日は、高岡でのBCリーグ観戦である(令和の記念講演も印象的だったが、そもそも今回の旅の当初の目的は野球である)。球場には昼前に着けばいいので時間はたっぷりあるが、少し鉄道の旅を楽しむことにしよう。
「あいの風 IR1日フリーきっぷ」というのを発売している。土日、お盆期間中の利用で2000円。金沢から富山まで通しで片道1220円だから往復すれば元は取れるし、片道利用でもそれ以外のところで乗車すれば十分だ。青春18きっぷの時季でも有効日ならこれで石川、富山両県を多少安く通過することができる。また特典として、これから向かうボールパーク高岡での富山サンダーバーズ戦の入場料の割引も受けられる。

ボールパーク高岡の最寄駅は西高岡だが、ここは少し乗り鉄ということでいったん東に向かう。7時51分発の黒部行きは「とやま絵巻」というイベント車両である。旧国鉄~JRの413系を譲り受けたもので、朝夕の通勤通学列車や休日のイベント列車として運転されている。昔ながらのボックス席に陣取るが、窓の外がちょうどラッピングのイラストがかかったところで、景色はやや見えにくい。


市街地を抜けると立山連峰を見ることができる。上のほうにはまだ雪が残っている。早起きして雪の大谷を見に行ってもよかったかなと思う。

列車は黒部行きだが、その一つ手前の魚津で下車する。立山連峰だけでなくせっかくなので日本海を見ようというものである。

駅前から地下道をくぐって海側に出る。まず10分ほど歩いて向かったのはありそドーム。魚津市の産業、スポーツ、文化交流の拠点であり、富山湾の別称である「有磯(ありそ)」からその名がついている。ここに高さ46メートルの展望塔があり、この時間でも開いているのでエレベーターで上る。


ここからは立山連峰、そして有磯の海の両方を眺めることができる。なかなかのスポットである。
スポーツの施設ということで昨年大相撲の夏巡業も行われたそうだ。その魚津場所の番付も記念で展示されている。


アリーナでは朝からバスケットの練習が行われているが、通路にはこの選手の幟が立てられている。ロッテの石川投手は魚津市の出身で、このありそドームの中には地元後援会の事務局も設けられている。サインボールの寄贈もあるし、オフには魚津でのイベントにも顔を出しているようだ。
なお後日、5月26日の試合に先発して勝ち投手となった石川は、同じ富山県出身の朝乃山が平幕優勝したのを受けてお立ち台で「朝乃山優勝おめでとう!」と絶叫していた。朝乃山とともに富山県勢も頑張りを見せているようだ。


ありそドームを出て海岸に着く。魚津の名物といえば蜃気楼。この辺りの海岸から見られるそうだが、いくつかの気象条件が重ならないと確認できない。この時も普通に穏やかや海岸を見たわけでどうということもなかった。
しかし、後で知ったが訪ねた5月5日は、午後から夕方にかけて蜃気楼が確認されたそうである。蜃気楼を観測する魚津埋没林博物館によると、富山市、射水市、氷見市方面から黒部市方面にかけての陸地が見えたそうだ。もっとも、双眼鏡がないと確認できないレベルというが。


駅に戻り、駅前で銘水をペットボトルに汲み、9時25分発の泊行きでいったん一駅先の黒部まで乗る。
黒部からは9時39分発の高岡行きで折り返す。1日フリーきっぷを持っているからこその芸当である。このまま富山も素通りして終点の高岡に向かう。
2駅先の西高岡へは30分後に発車する一本後の列車となるが、高岡で待つ形にしたのは、この日の昼食の調達のため。西高岡駅近辺はスーパーやコンビニもないようだし、独立リーグの球場の食事情はどこもあまりよろしくない(クルマで来るのが前提のためか、ビールも販売していない球場もある)。そのため、高岡駅の売店にてますのすし、ぶりのすしの小箱やら、ホタルイカの干物やらを買い、コンビニにて他の飲食物も買う。暑くなる予報で、凍らせたペットボトルも仕入れる。
高岡は越中の国府があったところで、大伴家持も国府で赴任したところである。この日は高岡観光は行わないが、駅のコンコース、観光案内所の前では大伴家持が「令和」を掲げての歓迎である。令和は万葉集由来、その万葉集の編纂に尽くしたのは大伴家持ということで、この地ならではの盛り上がりだろう。




列車待ちの間にJR城端線や氷見線を走る気動車の車両をカメラに収めた後、準備万端で次の金沢行きに乗り込み、11時10分、西高岡着。

